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曹洞宗と本尊

一佛両祖

曹洞宗は鎌倉期に活躍された道元禅師によって開かれました。道元禅師は真実の仏教を求め中国・宋へ渡った際に、当時の禅宗は五家七宗という様々な宗派に展開しておりました。曹洞宗もその中の一つでありました。

 曹洞宗は一般的に「禅宗」ともいわれますが、道元禅師は「禅宗などとみだりに自称するのは、仏道を乱す悪魔であり、仏祖の招かざる仇敵である」(『正法眼蔵・仏道』)と厳しく申されております。「お釈迦様が迦葉仏に学ばれたように、今日まで師から弟子へと連綿と相承されて続け、今自分も学び行じている。正しく伝わり続けているその中にだけ、命ともいうべき仏法があるのだ」とおっしゃいます。道元禅師が日本に伝えた教えとは、禅宗の中の曹洞宗という一宗派に限定されるのではなくして、お釈迦様のお説きになったまさしく仏教そのもの、仏教の真髄・王道ともいうべきものなのだ、という自信に満ちた強いお言葉であるといえるでしょう。

 その中心となる教えは坐禅ですが、単に坐禅をして無になったり、何も考えないというのではありません。加えて、坐禅して仏になろうと期待してはならない(作仏を図することなかれ『普勧坐禅儀』)ともお説きになります。坐禅に徹底的に打ち込み、坐禅以外何も考えるひまさえない状態、これが真の仏の姿にほかならない、とおっしゃられましたので、大変峻烈に坐禅を行じられたのでありましょう。

 道元禅師から4代目の瑩山禅師は、その教えを日本に広めることに尽力されました。祈祷などの儀礼を積極的に取り入れながら、在家と女性の救済に主眼をおかれたところに特徴があります。やがて瑩山禅師のご意志は特に二人のお弟子、明峰・峨山両禅師に引き継がれ、教団が拡張され全国へと展開することとなり、現在の曹洞宗教団の基幹になりました。現在、曹洞宗宗憲(宗教法人としての憲法に相当)の冒頭には「本宗は、釈迦牟尼仏を本尊とし、高祖承陽大師(=道元禅師)及び太祖常済大師(=瑩山禅師)を両祖とする」とあります。

 2500年前、インドにおいてあらゆる人々の苦悩をお救いになられたお釈迦様。その教えを正しく日本に伝えられた道元禅師。さらに全国各地へとその教えをお広めになった瑩山禅師。この「一仏両祖」のお姿に学ぶことこそが、今日の私たちのとるべき態度といえるでしょう。